2021/2/27 第410回
デモクラTV本会議項目
【今週の出演者】(敬称略)
司会:
川崎隆章(放送研究家)
コメンテーター:
中沢けい(作家)
マエキタミヤコ(メディア・クリエイティブ・ディレクター)
丸山重威(ジャーナリズム研究者、元共同通信編集局次長)
【項目】(11:00~13:00)
(1)ワクチン遅れは失政なのか?
(2)違法接待 総務省「処分」で終了!?
(3)入国緩和は「技能実習・留学」目的
(4)格差80位の国で夫婦別姓「反対」大臣
(5)生活保護引下げ 違法判決
(6)老朽原発「延命」で大丈夫?
【内容】
(1)高齢者らに対する新型コロナワクチンの早期接種実現に向け、確保に出遅れた日本政府は焦りの色を隠せていません。背景にあるのは世界で激化するワクチンの奪い合いです。供給は生産国に偏っているのが現実で、囲い込みも多発しています。流行の収束はまったく見通せず、増産体制の確立までは、激しい獲得競争が続きそうです。日本での接種は4月12日に始まりますが、本格的なものではなく、「試行」と位置付けられており、劣勢は明白、巻き返しは厳しい情勢となっています。(東京新聞25日朝刊1面ほか)
(2)菅総理大臣の長男、正剛(セイゴウ)氏が勤める放送事業会社「東北新社」による総務省接待問題で、総務省は「相手が利害関係者という認識がなかった」など接待を受けた幹部の不自然な説明を調査報告をそのまま認めた調査報告を公表しました。処分は決まりましたが、「総理大臣の息子だったから接待に応じたのではないか」「衛星放送の許認可に影響を与えたのではないか」といった疑念は解消されないまま、問題に幕が引かれようとしています。(東京新聞25日朝刊1面ほか)
(3)政府は去年の夏から今年1月にかけ、企業の出張などを連想させる「ビジネス往来」の再開として入国制限を緩和しましたが、来日した外国人のうち、技能実習生と留学生が7割を超える事が入管の資料で分かりました。一方、新型コロナウイルスの流行前に、4割を占めた短期出張などは、5%台にまで減っています。入国緩和の実態は、ビジネスに向けたものと言うよりは、政府が経済界の求めに応じて、事実上の低賃金労働者といわれる実習生・留学生などが入国しやすい環境を整えたものとみられます。(東京新聞24日朝刊1面ほか)
(4)世界銀行は23日、経済的な権利を巡る男女格差についての年次報告書を公表。日本は職業や育児、年金など8項目の調査で去年と得点は変わりませんでしたが、順位は190か国・地域の中で80位タイに転落しました。海外諸国が改善に力を入れる一方で、根深い差別解消に向けた取り組みが進んでいないことが鮮明となっています。そんな中、自民党の国会議員有志が地方議員に向け、地方議会が選択的夫婦別姓制度導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を送ったことが明らかになり、ジェンダー平等の旗振り役であるはずの丸川珠代男女共同参画兼五輪大臣も賛同者に名を連ねていたことから、論議を呼んでいます。(東京新聞25日朝刊3面ほか)
(5)2013年から15年にかけ行われた生活保護費の基準額引き下げは生存権を侵害し違憲だとして、大阪府に住む受給者ら24人が国と自治体に慰謝料や処分取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は「引き下げは裁量権の逸脱や乱用があり、生活保護法の規定に反し違法」と判断、原告39人に対する処分を取り消しました。29の都道府県でおよそ900人が原告となり同じ種類の訴訟が起こされていますが、判決はこれが2件目。処分を違法として取り消すのは初めてで、生活困窮者への公的支援制度に影響を与える司法判断となりそうです。ただ判決は引き下げが違憲かどうかの判断は示さず、慰謝料請求は退けられました。(東京新聞23日朝刊24面ほか)
(6)福井県高浜町(たかはまちょう)と美浜町(みはまちょう)が、この二月、相次いで、町内に立地する高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の再稼働に同意しました。いずれも運転開始から四十年を超えており、長年の酷使で劣化の危険が指摘される「老朽原発」の延命が、なし崩しに進んでいる形です。再生可能エネルギーへの追い風が、国内でもようやく吹き始めた今、原発依存に立地地域の未来はあるのでしょうか。(東京新聞24日朝刊社説ほか)
【2月25日午後記】
※トーク項目や内容は生放送のために、変更する可能性もあります。